中学受験で成功する「黄金法則」とは

① 予習シリーズの特徴と活用法

予習シリーズは量より質の教材である。各単元で学習する内容が冒頭にまとめられており、その単元の学習で身につけるべき読解方法が示されている。その部分を授業前によく読んでおく事が大切だ。このときに注意したいのは、読解問題の文章は読んでしまわない事である。実際の入試や模擬試験で出会うのは初めて読む文章ばかりだ。冒頭で学んだ方法を念頭に置いて、初見の文章でそれを実践するのが重要なので、文章を読んでしまうと読解の訓練にならない。

授業で実際に問題を解くときにも、冒頭で学んだ方法を実践するという意識をしっかり持って取り組もう。予習シリーズの読解問題は、基本と発展が一題ずつ用意されているが、基本レベルの文章は読みやすい場合もある。すらすら読めてしまうと、訓練すべき読解方法をあまり意識せずに正解が出せてしまう。すんなり出来てしまう問題であっても、どのような方法を用いて正解を出せているのかを意識しよう。

予習シリーズは体系的に読解方法を学んでいくのに適している。各単元で確実に方法を身につけ、自分が使える武器を増やしていこう。演習問題集も用意されているので、女子学院中志望者は予習シリーズの発展問題以外に、6年生後半には演習問題集「完成」版にも取り組んでおきたい。

各単元には文法や語句などの知識問題の解説と演習がついている。これも準拠した別冊の問題集があるので反復学習に活用しよう。漢字についてもシリーズに準拠した問題集を活用すれば十分な力がつく。

 

どの集団塾にも共通の問題であるが、中位以下のコースに在籍していると、基本問題の解説が中心になり、演習問題集はおろか予習シリーズの発展問題すら十分に扱わない場合がある。それだけでは各単元が理解不足になりかねない。女子学院中志望者の場合、応用・発展レベルの問題に取り組む必要があるので、市販教材で補っていかねばならない。

お奨め教材は基本レベルならば学習研究社の「解き方上手」(女子学院中の過去問も含んでいる)や同じく学習研究社の「自由自在」の読解問題だ。発展レベルでは時期別学習法(6年)で挙げた類題練習や演習問題集に取り組んでおこう。

 

女子学院中の国語の特徴は、選択問題を中心にした出題量の多さだ。問題自体は標準的なものが多いため、合格するには高得点を獲得する必要がある。時間内でなるべく多くの問題を正確に解かねばならない。しかし、だからと言って、スピード重視で大量の問題を解きまくるのは間違っている。重要なのは読解を訓練する際の質と量のバランスだ。

類題を大量に反復して理屈ではなく身体で覚える事が有効な場合もあるが、消化不良のままでの大量反復は百害あって一理なしだ。しかし、演習量と読解の質のバランスの問題は、常に集団塾が直面するジレンマだ。個々の生徒に合わせて、その生徒が苦手なポイントを個別で指導する事ができないので、類題の反復で補うしかない。理解不足の生徒にはこれは逆効果だ。たとえば、早稲田アカデミーの生徒はWベーシックを課題として出されるが、これを全てこなそうとすると消化不良に陥る危険性がある。

本音を言えば、受験国語の方法に通じた大人、可能であればプロの国語の講師が、その受験生のレベルに合わせて、量と質のバランスをとりながら個別指導するのが望ましい。

 

読解の質の維持のための一つの方法として、演習や模擬テストで間違った問題の見直しをして、正解に到達するプロセスの確認をする作業をお奨めしたい。自分が間違えやすいスタイルの問題も見えてくるし、正解に到達する典型的なプロセスが自分なりに把握できるようになる。

たとえば選択問題では、本文内の正解の根拠の発見の仕方がまずポイントになる。どのようなガイドラインで根拠へと導かれていくのかを意識しよう。また選択肢の用語法と根拠の照合では、言い換えた表現を追いかける力がポイントになる。この言い換えの度合いで問題の難易度が変動する。根拠にあたる部分の表現がどのように言い換えられているかを意識しよう。間違えた問題だけでなく、正解できた問題であっても、こうした視点で見直しをすると意外な発見がある。むしろ正解できた問題だからこそ、正解へのプロセスが見えやすく、納得がいき、そこから教訓を得やすい面もある。

 

② 四谷大塚6年生「週例テスト」の位置づけ

週末ごとに実施される週例テストは、解説授業まで含めて受講すると、まるまる日曜日がつぶれるボリュームになる。通常授業で週3日を費やし、日曜日もつぶれてしまうとなると、十分な復習の時間がとれず、消化不良になって学力低下という結果を招きかねない。テストと解説授業の組み合わせは得点力強化に有効な面もあるが、テストテストの繰り返しで消耗していくのは回避したい。週例テストに関して言えば、6年生後半は受講を見合わせるほうが良いだろう。

 

③ 四谷大塚6年生「校別対策指導の特別コース」の位置づけ

女子学院中志望の四谷大塚生は、9月からスタートする特別コースを受講するべきだ。ただし、選抜基準に達していないと受講できない。2011年度の場合、7月実施の第2回合不合判定予備テストで、4教科総合の成績が男女各上位600位以内の生徒、もしくは6年生4教科必修講習の受講生で、8月下旬に実施された講習会判定テストで基準に到達した生徒に受講が認められたようだ。どこの学習塾でも、特別なコースの選抜方法や選抜基準には多少の幅もあり、例外的に受講が認められる場合もあるが、早めに基準を把握して準備しておきたい。

④ 「YTテスト・土曜特訓・日曜特訓・NNアタック・志望校別特訓」の位置づけ

早稲田アカデミー生

早稲田アカデミーでは、土曜日にYT教室、土曜日集中特訓(小6秋スタート)および日曜日には日曜特訓、NNアタック(小6春から夏)、NN志望校別特訓(小6秋スタート)などのオプション講座が用意されている。

早稲田アカデミーの看板講座であるNNアタックは受講をお奨めしたい。看板講師の授業を受けるチャンスであり、早稲田アカデミー以外の塾の生徒とも交流できる。女子学院中をはじめとした最上位校の講座であれば、早稲田アカデミーに限らず、どこの塾も力を入れてくるはずなので、授業の質も授業以外のフォローも手厚くなるはずだ。ただし、NNの受講には選抜テストがあるので、受講するためにNNのテスト対策に早めに行っておくべきだ。

NNに合格できなかった場合は、土曜日集中特訓の「女子学院中の国語」を受講するか、所属校舎で過去問対策をお願いしよう。

YTテストに関しては9月以降の受講をしなくてもかまわない。また、日曜日特訓は個々の学習状況など様子を見て受講を決めればよい。

⑤ 塾の学校別テストの位置づけ

早稲田アカデミーや四谷大塚の生徒は、常に塾のテストを受け続けているような状態なので、それだけでも消化不良になりかねないが、桜蔭や女子学院といった最上位校に最多の合格者を出しているサピックスの学校別サピックスオープンは受験しておきたい。サピックスの女子学院対策が最高であるとは言えないが、サピックスのブランド力が最上位校の志望者を集めてしまっている現状を考えると、その生徒たちと他流試合をしてみる事は意味があるし、モチベーションアップにも有効である。