中学受験で成功する「黄金法則」とは

誉れ高い御三家の一角、雙葉。“クラシックな最難関算数”桜蔭、“スピードスター算数”女子学院と比べると、独自のこだわりが垣間見えるセッティングです。

一言でその特徴をまとめれば“丁寧に堅実に”というものです。つまり、「あ!わかった!」となってから、正答まで導く作業のクオリティのハードルが高いのです。

確かに、比較的算数がグイグイきている生徒さんから見れば「できたぜ」と自信満々で残り時間を振りかえることができる設問構成に見えるかもしれません。しかし、そこで終わらないのが雙葉の雙葉たる所以。「へ~できたんだ~、答え間違ってるから不合格だけどね」というまさに寝耳に水な点数が出てしまいます。なぜでしょう?

(1) 出題分野の狭さと明確な頻出分野

たとえ、どんなにひらめき・直感・着眼点が鋭くても、そこからの作業・処理が、なんとなくな、大雑把な生徒は点が取れません。結局、そこが雙葉の狙いなのです。逆にいえば、「算数あまり難しい問題は解けない」と思っている生徒でも、キッチリ正答を丁寧に取ってくる子であれば、有利だと思います。

さて、具体的な設問構成の分析に入る前に過去出題されたものから出題範囲を確認しておきましょう。例えば女子学院と比べると顕著なのですが、雙葉は、出題分野がかなり偏っていて「出ないものは出ません」。では、何が出るのかというと➀多角形・おうぎ形の複合図形、➁速さ、➂周期・規則性、➃和・差・比の文章題、の4分野です。また、かつては頻出でしたが、最近は忘れかけた頃に➄作図問題がひょっこり顔を見せます

(2) 丁寧さ且つ堅実さを要求する入試

 それでは、以上の、おおまかな傾向、そして絞られた出題分野を踏まえて設問内容の具体的な分析に入っていきましょう。

① まずは計算ですが、さすが雙葉、すでに作業・処理が煩雑です。普通は「まず、計算キッチリ得点して」と思うのですが、雙葉ではそうはいきません。小数計算など煩雑な方向性です。円周率を計算するところでヒッカケさせるのは常套手段ですし、とにかく「できてたはずなのに答えが違う」という不思議な結果にならないように「丁寧に堅実に」問題を解いていかなくてはなりません。

② 周期・規則性・条件整理・場合の数の問題では、それほど中身が濃い問題は出ないので、「知識を存分に活用してスマートにとく」のではなく「丁寧に書き出す」ほうが、雙葉的な解き方と言えます。とにかく解法がわかっていても正答にたどり着くまでの作業・処理の煩雑さで受験生を振り落としていくのが雙葉流です。

③ 配点は非公表ですが、単純計算で1問あたり10点前後と推測されます。ってことは、ちょっとしたミスで10点持っていかれるので、結論としては「ノーミス勝負」でし。ただし、雙葉の独特なところは「ゆっくりノーミス勝負」なところですね。「高速ノーミス勝負」ではないのでご注意を!

(3) 記述型入試 ・・・答案作成力

なにより重要なのが、解答用紙がなく、問題用紙に書いたものをそのまま採点されるというスタイル。類似した学校としては女子学院中や学習院女子中等科が挙げられます。

全て記述型であり、計算問題にすら過程の記入を要求する形式は、答えが正しければOKという生徒を縮み上がらせます。逆にいえば、算数の途中式を書く練習になるスタイルと言えます。99%合う暗算よりも、100%合う筆算を!といったところでしょうか。そういう意味では、おそらく、日ごろの練習から雙葉向きに演習をしてきた子と、そうでない子にかなり差が出ると思いますので、志望校向けの対策が必須な一校と言えるでしょう。4科目通じて、書くという作業を面倒がる生徒は、残念ながら雙葉中には不向きです。向き不向きで志望校を決めるなら、あきらめる生徒さんもいるかもしれませんが、それでも、やはり雙葉中を志望したいのであれば、これまでの自分の姿勢を改めなければなりません。しかし、どの志望校を目指すうえでも「これまでの自分を見直す」作業は必須。そのような作業を乗り越えてこその中学受験生といえます。一緒に鍛えていきましょう。